150分という限りある試験時間、できれば効率的に問題を解いて、しっかりと見直しをする時間を確保したいものです。
特にそれが難攻不落の「無線工学の基礎」であるならば尚更のこと。計算問題に手間が取られ、気付いたら残り時間があまりない…なんて絶望感を味わいたくはないです。
今回は与えられた時間に1秒でも余裕をもって試験に挑めるよう、「見た瞬間に答えが分かる問題」、いわゆる「秒で解ける問題」を紹介します。
今回の例はこちら、令和元年7月期「無線工学の基礎」A-19 の問題です。
※日本無線協会HP「試験問題と解答」より
こちらの問題、前回出題されたのは平成25年7月期の試験、奇しくも同じA-19で出題されました。実に6年振りのお目見えだったわけですね。過去問は過去5年分(10回分)のものしか掲載されていませんから、「何これ新問!?」となった方もいたのではないでしょうか。
答えはずばり”2”のになります。(因みに前回出題時も”2”が答えでした。まんま問題使いまわしてますね)
さて、これをどうコンマ1秒で答えるかというと、「数式を理屈ではなく図として記憶しておく」です。私の場合ですが、この力率の測定の計算式は、
… 2分のそれぞれ マイナスしてて2乗になってる
と覚えました。
なんだそれ、すげぇ乱暴じゃねぇか!
と思う方がほとんどでしょうけれど、もう1度問題と選択肢を見てみてください。
①分母に2がある
②それぞれの項は2乗されている
③間は+でなく-
これだけ分かっていれば解けますよね?選択肢見ただけで答えが分かりますよね?すごく乱暴な話ですが、いいんです、これで。
いや、そんなの納得いかん。俺はちゃんと頭で考えて答えを導き出したいんだ!という方のために、ちょっとした解説をしておきます。
この力率の測定式のもともとは「3電圧法」というやつになります。3つの電圧計を接続して、それぞれの電圧の絶対値から、力率を測定しなくても電力が求められるというものです。最終的にP[w]を求めるための方式ですが、1陸技の問題ではその途中計算式である「cosθ=~」の式を求める内容が問題として採用されています。
問題の回路図を原理図に直すとこんな感じです。
それぞれの電圧をV1、V2、V3、電流をI、負荷力率がcosθとすると、次のようなベクトル図が描けます。
このベクトルから余弦定理を使うと、
という式が得られます。これを変形して、
というわけで、答えはとなるわけです。めでたしめでたし。
先ほどの力率の問題も解説を見れば「なんだ、ただの余弦定理じゃん!」と思うかもしれません。が、よく考えてみてください。
回路図からベクトル図を描いて、そこからそれぞれの値を余弦定理に当てはめて、文字式をつらつら書いて変形させて…そんな時間あったら他の問題の2つや3つ、解けますよね?ましてやいざ試験本番となると、緊張からテンパることもあり、余弦定理にすら考えが辿りつかないことも考えられます。
限られた試験時間を効率的に活用するには、こういった「公式を解答する問題」をいちいち考えて答えを導き出すことは時間の無駄です。
なので私は、「数式を理屈ではなく図として記憶しておく」ことを推奨します。極端なことを言うと、
これをひとつの図として覚えておきたいところです。
1陸技の問題にはこの他にも、「理屈は分からずともとりあえず式だけ覚えておけば、見た瞬間に答えられる問題」がいくつかあります。少しでも早く問題を解いて、試験時間を計算問題のために充てるなり、見直しをじっくりする時間を確保したりするためにも、これらの「秒で答えられる系問題」は過去問でチェックしておいて、しっかりと記憶に焼き付けておきましょう。